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落陽



2006年の吉田拓郎「つま恋」コンサート

吉田拓郎のコンサートを語る時、近年ではこれが一番すぐれたモノではないでしょうか?


▼1982年4月・・・

マンハッタン。ダウンタウンの入り口近く。ウエストビレッジの「mar'sBLG」で暮らすようになって約1ヶ月が経とうとしていた。

ショーコ
「なんとか間に合いましたね^^」

オレ
「ああ。これでちゃんと鍵がかかる部屋になった(笑)」

ショーコ
「それにしてもいいかげんな仕事と言うか対応と言うか、これは契約違反だからペナルティーを取れるんでしょう?」

オレ
「さーどうかな?(笑)」

さっき鍵職人が新しい鍵を付け替えて帰ったところだった。ずいぶん前から最新式のロックシステムをオーダーしていたのだが、それが特殊な取り付け方法だった為に専門の職人でないとダメと言う事で延び延びになっていた。それがようやく完了したところだった。

オレ
「それより遅いな?アイツら」

ショーコ
「クルマだと混んでるんでしょうね」

オレ
「じゃーメモを残して先に出るか?」

ショーコ
「まだ早いですよ^^コーヒーのお替りどーですか?」

オレ
「ああ。」

5階の工事、一部を残してほぼ完成と日本を出る前に聞いていたが・・・一部しか出来で居なくて、完成にはほど遠い状態だった。それでも4階のアパートが2室空いていたので、なんとかオレたち4人はそこで暮らす事ができたのだが・・・

それ以外にもビル全体の水漏れや5階の電話工事など、想定外の工事も発生して予定より大幅に遅れたが、それもほぼ1ヶ月かかって出来上がった。

そして今日の午後、日本からの第2陣が到着する。なんとか彼らが住むところがいい状態で仕上がった。

横山とショーコは歓迎パーティーの為の食材をワゴン車に乗って買いに行っていた。

オレとショーコはこれも大きな工事をせずにつくった2階のmar'sOfficeに居た。このスペースは2階の出入り口とは別に、内階段があり1階の店舗スペースと繋がっている。

電話が鳴った。オレが出た。横山からだった。

オレ
「わかった。とりあえずこっちはもうすぐ出るから」

「うん。慌てなくていい(笑)」

「タイヤ交換頑張ってくれ」

オレは電話を切った。ショーコがミーティング・テーブルの前に珈琲を置いた。オレはそこに戻った。

ショーコ
「タイヤ交換って?」

オレ
「あのポンコツがパンクしてタイヤ交換にもたついてるらしい(笑)なんでもスペアタイヤまでパンクしたままだって」

ショーコ
「それにしても次から次へと色んな事が(笑)でもどうするんでしょう横山君」

オレ
「ははは・・・新しいタイヤを買いに行くと言ってた。とりあえず四方だけが先に戻ってくるらしい」

ショーコ
「予定変更します?この間行ったチャイナ・タウンのレストランにでも皆さんを連れて行きましょうか?」

オレ
「そーだな^^その方が手っ取り早いな!それにあそこならあっさりした味だし喜ばれるかも知れない」

ショーコ
「じゃー今から予約します(笑)」

この1ヶ月、夜はチャイナ・タウンやリトル・イタリーなどのレストラン周りをした。いわゆる一般的な日本で言えば大衆食堂的な価格で利用できる店を中心に食べ歩いた。昼間の移動手段はバスや地下鉄でよかったが、やはり夜は女性連れと言うこともあって車、それも半分貰ったようなポンコツのバン(ワゴン車)で移動した。

四方が戻ってくるのを待って、オレたち3人はイエローキャブを拾ってケネディー空港まで行った。

日本航空の路線ターミナルで待った。飛行機が到着してからが長い・・・それぞれの持込み荷物が出てくるのを待ち、そして入国手続き、ようやく一行が現れた頃には1時間以上待った計算になる。

先に出てきたのは山城さんのところの料理人たち3名、両方の手でトランクケースを2づつ押している。その後に本橋と香、そして紗也乃ママが車イスを押していた。車イスには松村さん・・・その後ろリョーコ。そして最後に田川と岩崎が出てきた。彼らも両手一杯に荷物を持っていた。

オレは山城さんのところのスタッフを労い、本橋、北条の順に軽く抱擁をした。

本橋
「とうとう来ちゃいました(笑)」

オレ
「おう^^ニューヨークへようこそ^^」

本橋
「これからどうぞよろしくお願いします^^」

オレ
「うん。香は大丈夫だったか?」


「はい^^ただ座ってるだけだったからへっちゃらよ」

オレ
「そっか^^今夜はゆっくりと新しいベッドで眠れるからな^^」

紗也乃ママが押す車イスが近づいてきた。

オレ
「ようこそ^^ニューヨークへ♪」

松村
「うん。とうとう着いたか(笑)」

オレ
「体調の方はどうですか?」

紗也乃
「念の為にって事で一応車イスなんですけど、ほんとはしっかりと歩けます(笑)」

リョーコ
「車イスの方が色々と便利な事もあったの(笑)」

オレ
「うん。こっちでも公共施設だと優遇されるから、いいかも知れないな」

オレは田川と岩崎に声をかけた。かれらは疲れた様子もみせず、空港内をキョロキョロと見ていた。

オレ
「田川、岩崎、勘違いするなよ!外人が多いんじゃないんだ。オレたちが外人なんだぞ(笑)」

田川
「あははは^^そういう事ですね(笑)」

岩崎
「なるほど^^オレたちが外人ですか(笑)」

オレたちは観光団体よろしく、ぞろぞろと塊になって移動を始めた。全員で13名、4台のイエローキャブに分散して、それぞれにオレ、四方、ショーコが同乗した。山城スタッフにはオレが運転手に簡単な地図を渡して道順を説明した。

mar'sBLGに着くとすぐに横山が降りてきた。

ビルの入り口でドア・ボーイのカールを紹介して全員を5階に案内した。事前の部屋割り通りに松村さん紗也乃ママは3LDK。菊水亭の3人組も同様に3LDK。5部屋ある1LDKにショーコ、四方、本橋、香、リョーコらが入った。4階の2LDKに田川と岩崎、もう一室の2LDKにはそのままオレと横山が居る。

各自荷物を部屋に入れた後、2階のmar'sOfficeに集合してもらった。

本橋
「ここは天井も高くて広い部屋ですねー^^」

オレ
「うん。ほらそこの上、後から作った中2階いや正確にはここが2階だから中3階もある」


「ユーちゃん。このビルの名前もmar'sなの?」

オレ
「うん。買ったときに名前を変えたんだ(笑)」

ショーコ
「だから、ここもmar'sOfficeよ^^」

横山
「まるで大学時代のネーミングそのままなんですよ(笑)それとこの下、そこの階段から1階へ降りられます。今は荷物置き場になってますが、その内何かお店をしようと思ってます」

さっそく岩崎がその階段を降りて行った。

松村
「古いけどしっかりした建物でいいじゃないか!」

オレ
「と思ったんですけどね。内部は水道管なんかが古くて、水漏れが発生したりして大変です。徐々に補修工事を進めてはいるんですが、日本のようにスケジュール通りにはいかなくて苦戦してます」

松村
「そっか、そういう問題も確かにあるだろうな!でもいいところだ^^」

オレ
「はい」

会議用のテーブルを3本並べて、その上に大きなクロスをかけて、同様に透明なビニールシートをかけた。スタッキング・チェアを配置した。大人数の食事もできるスペースが一瞬で出来上がった。

ショーコと四方がそれぞれの前にソフトドリンクのボトルとグラスを出した。横山は資料を配布した。

ここの住所、大まかな建物内の説明、5階の各部屋の内線番号、タイムズ・スクウェアの店までの地図、バス停、地下鉄での行き方、など等当面必要と思われる情報が列記されている資料だった。

そして横山がそれらを一通り説明して、明日からの予定を発表した。

オレ
「という事で、今から2時間後にチャイナ・タウンに行って食事をしますので、ここに集合して下さい。それまではフリータイムズです。(笑)」

それぞれ部屋に戻った。四方は松村さんに付いて行って、松村屋NY支店の活動など必要な説明をする為に上がって行った。

結果、うちのメンバーだけがここに残った。

田川
「ムーさん。ここがうちのニューヨーク基地なんですね(笑)」

オレ
「うん。セキュリティーも万全にしたしドア・マンも居る」

本橋
「これから始まるんだなーとわくわくしてきました^^」

オレ
「まー明日から街に出てみればわかると思うけど(笑)当面、単独行動しないように!街へ出る時は2人以上で行動するようにな!」

「それから行き先をその壁のボードに必ず書いて出るように」

「街に、生活に慣れるまでは、そういうルールになってるから」

ショーコ
「ムーさんは心配症だから、特に女性は気をつけてムーさんの注意を守ってね」

香&本橋
「はぁ~い^^」


「ムーさん。すごい心配症なんだ?知らなかった(笑)」

ショーコ
「香ちゃんが来たからムーさん益々心配症になるわよ^^」

横山
「ほんとこっちへ来てからオレまで子供扱いされて困りますよ(笑)」

オレ
「ははは^^香はそんな心配かけるような行動をとらないから安心だけど、横山みたいにわかった顔してウロウロされるとそりゃー心配するさ」

横山
「オレは一応これでもムーさんのガードに来たつもりなんですけどね」

田川
「横山さん。ガードはオレの役目ですからこれからは横山さん自由に動いて下さい(笑)」

岩崎
「じゃーオレは女性専用のガードと言うことで頑張ります(笑)」

オレ
「それが一番心配だよ(笑)」

まったく誰も何もわかってないな。と思いながらオレは苦笑するしかなかった。いや、ショーコだけにはわかっていた。

ショーコとふたりでトライベッカのライブハウスに行った時、深夜までそこで過ごして地下鉄で帰ることになった。深夜の駅の構内は人影も少なく、いかにも危なげなフインキだった。二人で電車を待っていると、オレたちの前を通り過ぎた3人組が引き返してきた。

通り過ぎた段階で危険を感じていた。オレはジーンズのベルトの後ろに付けていたケースから特殊警棒を素早く取り出してひと振りした。カシャンという音と共に45センチの黒の警棒になった。オレはそれで自分の首筋を軽く叩きながらそいつらを牽制した。

それでも寄ってこようとしたそいつらに軽く肘を曲げて警棒を突き出した。そいつらはニヤニヤしながら立ち止まった。暫くそのままの距離で睨み合った。一番でかい後ろにいた黒人のガキが「行くぞ!」と声をかけ首を振った。そいつらはその場から離れて去っていった。

不必要な威嚇は大怪我の元だが、その時は明らかにオレたちは狙われた。たぶん相手もナイフぐらいは持っていただろう。当然オレたちをカモだと思い。脅して金をとろうとしたに違いない。

相手の体がデカかろうが、オレは剣道をやっていた経験上、棒を持てば3人ぐらいなんとでもなった。

そういう「気」が伝わったのか?彼らはオレが特殊警棒を出した時点で、やっかいな相手だと判断して引き下がった。その程度で引き下がるし、小額の金欲しさにすぐに強盗にも早変りする。

ショーコは青ざめていたが、彼らが去るとオレの腕をとり体をくっつけてきた。それ以来オレが心配症なんだと思っている。

ラッチ式の特殊警棒。ラッチを押しだけで簡単に小さく仕舞える。そうでないタイプはしっかりと伸びないし、また仕舞う時にも相当の力を入れないと縮まない。同じモノを3本持っている。ほとんど使うことはないが、お守りみたいなモノだった。

相手がハンド・ガン(拳銃)を持っていればお手上げだが、それを持って強盗をしようというヤツらは一般人を相手にしない。ほとんどが商店を狙う。確実にある程度の金があるところを襲う。

小額の現金しか持ち歩かない一般人を狙うのは、ゲーム感覚で強盗を行うティーンズ達が多かった。

時間になって、それぞれが2階に降りてきた。また団体でイエローキャブに分散してチャイナ・タウンに行った。日本人の舌に合う中華で夕食をして、チャイナ・タウンをメイン通りを散歩した。そしてまたイエローキャブを使ってmar'sBLGに戻り解散した。

オレはバドワイザーの缶とコークの缶、それぞれ6本が一組になったモノを持って香の部屋へ行った。

5階の1LDKの部屋、すでに最初から必要なモノは揃えてあった。20インチのソニーのTV、ソファセット。ラジカセにスピーカーセット。リビングの向こうは10畳程度のベッドルーム。セミダブルベッドと作り付けのワードローブ。化粧台にもなるライティング・テーブルなど等。

リビングとキッチンスペースを合わせて20畳程度で、ひとりで住むには十分過ぎる広さがあった。

オレはソファーに座りバドワイザーとコークのプルトップを引いてテーブルの上に置いた。向かいのローボードの脇のTVを点けた。

香が隣に座った。オレは香を抱き寄せてディープなキスをした。

オレ
「とうとう来たな^^」


「うん^^」

オレ
「明日から街に出るようになったら、ここが外国なんだって実感するよ」


「うん。すごく楽しみ^^」

オレ
「ははは^^でも安全にだけは気をつけてくれよ!」


「はぁ~い^^」

オレはビールを口にした。

オレ
「それから香^^ここから新しい生活が始まるけど、周りやオレに変な遠慮はせずに、いつでもどこでもなんでも言えよ^^」


「うん。わかった。ありがとう^^」

オレ
「まっ1ヶ月もすりゃー落ち着くから^^これからはいい季節だし、慣れたら自転車に乗って周辺の街を散策すると楽しいぞー」


「うん。一緒に自転車乗ろう^^」

TVの映像・・・当たり前だがすべてが白人、黒人の映像だった。ニュースやCM、バラエティー映像だけを垂れ流すようにTVを付けていた。オレはバドを飲み干して缶を潰した。

オレ
「ふたりっきりになるチャンスは少ないと思うけど、どんどんハートで話かけろ(笑)」


「うん^^」

オレ
「すぐに抱きたい。いいか?」


「私も待ちわびてたわ^^」

再びキスをした。そして乳を揉んだ。ふたりでベッドルームへ行った。オレはすぐに素っ裸になり、ベッドに座る。

香は少し離れてオレの前で服を脱ぎ始めた。オレはその様子を眺めていた。下半身の黒々としたところを見ただけでオレのモノは怒張した。

香が近づいてくる。オレは立った。立ったまま裸で香と抱き合った。キスをし乳を揉み股間に軽く触れる。

オレたちはベッドに入った。

香の乳首を口に含んだ。そしてもう一方の乳を揉む。


「あーユーちゃん」

すぐに手は股間を求めた。草むらを分け入り、割れ目を撫でる。クリトリスは屹立しその下のヒダを開くと、濡れていた。指を入れて穴の中を揉み解すようにした。


「あーーー」

香は体の向きを変えてオレの方を見る。

オレ
「どうした?」


「ユーちゃんを見ながら感じたいの」

オレ
「そっか」


「うん。すごく切なくて・・・感じるの」

「私も触っていい?」

オレ
「ああ。」

香の手がオレのモノに触れた。先端の部分に指が絡みつく。そしてオレのモノを手で優しく擦る。

オレはユーコのオンナの穴に指を2本突きたてた。


「うっ あーーー」

オレは香の顔を見ていた。目を瞑り眉間に皺が寄る。そして口が開き、声が漏れる。そして切ない快楽に泣き顔に似た表情になりオレの名を呼ぶ。

オレは香の体に乗ってオレのモノを軽く挿入した。香の反応を確かめながらオレは大きく動き香を責め立てた。

そして香をいつものように立て続けに2度いかせた。

香を抱きながら香の背中を撫でた。


「あーユーちゃん。好きよー」

香はオレの首に手を回して体を被せてきた。眠りそうになるのを我慢しているようだった。

オレ
「後で一緒に風呂入ろう」


「うん」

▼翌日・・・8時

オレとショーコは2階のオフィスで朝食の用意をしていた。珈琲にトースト、スクランブルエッグに野菜サラダとハム。広いキッチンスペースに大きな冷蔵庫が2台。十分に13人分の食事の用意ができた。

昨日設置したビッグテーブルに一同が集まって朝食をとった。

田川
「いやー食事まで用意してもらってなんか合宿みたいですね(笑)」

本橋
「それこそ留学できた学生みたいで嬉しいです^^」

岩崎
「和食のメニューも欲しいなー」

ショーコ
「しばらくは当番制なんで岩崎さんの時に是非お願いします^^」

岩崎
「おう^^なんだったら明日からでもいいぜ!」

横山
「後で散歩がてらスーパーに案内しますから、それぞれの買い物をそこで済ませてください」

すでにグループ分けが出来ているようだった。菊水亭の3人。松村さんと紗也乃ママとリョーコ。本橋と香、そして田川と岩崎。それぞれ昨日はよやくベッドでぐっすりと眠れたせいか元気が良さそうだった。

オレ
「松村さん。どうですか?時差もあると思いますが眠れました?」

松村
「うん。ぐっすりとベッドで眠ったよ^^」

紗也乃
「大きなベッドでぐっすり休めました^^」

オレ
「そーですか^^食事が終わって休憩したらさっそくこっちの病院の方へ行きましょう」

松村
「ふむ。。。」

オレ
「オレと四方もご一緒させていただきますから」

紗也乃
「ありがとうございます」

オレはそれ以上ここでは内容を説明しなかった。他の連中は横山とショーコがガイドに着く予定だった。ビルの前の道を30メートル程西へ行くと、バス停がある。バスに乗ってスーパーへ買い物に行き、その後衣料品などの生活必需品などの買い物に行く予定になっていた。

食事が終わると、ショーコ、本橋、香、田川、岩崎らが後片付けをした。

リョーコ
「ユーちゃん。面白い環境をつくってくれてありがとう^^」

オレ
「面白い?ここが?」

リョーコ
「ええ。なんだか学生寮みたいで面白そう(笑)」

オレ
「ははは^^お世話するのは最初の1週間ぐらいだから、早く生活する!という事に慣れる事だ」

リョーコ
「私はいつ誘ってもらえるのかしら?」

オレ
「ん?」

リョーコ
「摩天楼を見ながらのディナーとか?」

オレ
「ははは^^一度だけ4人で行った事がある。なかなかの景観だった。その内、みんなで行こう(笑)」

リョーコ
「そう^^でもふたりで気分だけでもロマンティックな食事がしたいわ」

オレ
「ひと段落したらな(笑)」

どこまでわかっているのか?そういう観光気分は他の人間とやってくれ!喉元まででかかった言葉を飲み込んだ。

横山
「ムーさん。やっぱり車がもう1台必要ですよね?」

オレ
「そーだな。今のワゴンはこれから仕入れ車になるだろし、松村さん用の車が居るだろうな!早急に何か探そう」

横山
「はい。田川と岩崎も一応国際免許に切り替えて来てますから、仕入れ用の車は彼らに与えようと思います」

リョーコ
「あっ私もポルシェ買おうかな?」

オレ
「あははは^^ここでもポルシェか?まーいいけど(笑)」

リョーコ
「やっぱりたくさん乗れる方がいいかなー?」

オレ
「その方が実用的で勝手がいいと思う」

ビルの裏側に10台ほどの駐車スペースがある。アパートの住民はほとんど使っていないので、今後は我々だけで利用するようにすこし工事をしようと思っていた。

松村ささん、紗也乃、リョーコ、四方、をワゴンに乗せミッドタウンにある病院に行った。

精密検査を行う。と言う事で1日のみ入院する事になった。担当の若い医師に終末医療の説明を受け、それをオレと四方が説明した。リョーコはただ傍に居てそれを聞いていた。

▼14時・・・mar'sBLG2FOffice

ショーコ
「香ちゃんと本橋は、語学学校を見学に行きました。」

オレ
「そっか積極的だな^^」

ショーコ
「男性たちはもう1度食材の買出しに行ってもらいました。横山君が同行してます」

オレ
「まっ一般的な食材のチェックも必要なんだろうな」」

ショーコ
「岩崎さんが早速明日の朝食は任せろ!って言ってましたから(笑)」

オレ
「それは楽しみだなー^^」

ショーコが冷たいウーロン茶を持ってきてくれた。チャイナ・タウンでしか売っていない銘柄のウーロン茶は冷やして飲むとサイコーに旨かった。オレはすっかりそれが気にいってしまった。

オレ
「予定では夕方からタイムズ・スクウェアの店に行って全員で様子を見て、その後、他所の日本料理店で食事だったよな?」

ショーコ
「はい^^夕食の後、摩天楼の夜景を見に行きます」

四方
「でもこれだけ一気に人数が増えると大変ですね」

オレ
「そーだな(笑)なんだかんだ言っても4人の時は楽だったな」

ショーコ
「私も後で病院の方覘いてきましょうか?」

オレ
「ふむ。食事が終わったらちょっと行ってみようか?」

ショーコ
「じゃー病院へ付いたら私が暫く居ますから、紗也乃ママを食事に誘ってあげたらどうです?」

オレ
「うん。ママもこれからが大変だろうから・・・」

電話が鳴った。四方がとった。

四方
「メイヒル不動産からです。明日の午後の来社時間を変更できかいか?と言ってます」

オレ
「何時に?」

四方
「15時にして欲しいそうです」

オレ
「ちょっと代わるよ」

オレは四方のデスクに近づいて受話器を受け取った。もしかして何か契約内容の変更が発生したのであれば、今その事を確かめておきたいと思ったが・・・単に担当者の都合でその時間に戻れそうにないと言う事だったので、オレは15時で納得し電話を切った。

鮨屋の場所をマジソンスクエアーガーデンから南へ6ブロックほど離れたビルの1階に決めた。その契約が明日だった。

四方
「スミス弁護士に連絡を入れておきましょうか?」

オレ
「うん。頼む」

ショーコ
「スミスさんに依頼してた法人登記はもう終わったんでしょう?」

オレ
「ああ。とりあえずはmar'sCompanyで登録できた。グリーンビザの申請も終わってるし問題ないだろう」

四方
「オープンまで2週間、なんとかなりますよね?」

オレ
「ああ。オープンは大丈夫だ。ただ客がくるかどうかはわからないけどな(笑)」

ショーコ
「当日の新聞広告と後は訪問営業ですね!」

オレ
「うん。当面は地道にやるしかないな(笑)」

買出しに言っていた男たちが帰ってきた。それぞれ両手にいっぱいの袋を持って入って来た。オレたちに顔だけ見せるとそれぞれの部屋へと運んでいった。

リョーコが降りて来て車を見に行きたいと言い出した。オレは横山と一緒に行くように言った。横山にもステーション・ワゴンタイプの車を見てくるように頼んだ。新車は納期に結構時間がかかる。今すぐ必要な車は手続きが簡単な中古車が手っ取り早い。彼らとはその後、タイムズ・スクウェアの店で合流する事にした。

香と本橋が戻って来たので、全員でバスに乗ってタイムズ・スクウェアの店へ行った。

タイムズ・スクウェアの店の工事は日本の建設会社を通して紹介してもらった施工業者だったので、かなりしっかりと対応していた。ほぼ完成に近い状態で引渡しは予定より早まりそうだった。

男たちは厨房をチェックして、その余裕のスペースに満足していた。後は自分達が持ち込む特殊な道具を入れればオッケーのようだった。横山とリョーコの到着を待って、歩いて10分ほどのところにある日本料理店に入った。夕食の時間には早かったが、店はすでに半分ほどの客が入っていた。

それぞれ単品のメニューを選び、その味を確かめながら食べ、あれやこれやと批評していた。まわりのニューヨーカーが当たり前のように日本食、ご飯を食べるのを見て少なからず驚いているようだった。

人気メニューは「カツ丼」「天丼」などなどで、その理由は単にご飯とおかずを一緒に食べてしまえるという理由らしい。オカズを食べながら、おわんに入ったご飯を食べるという食べ方がどうにも合わないらしい。というのを前回山城さんとニューヨークに来た時にここの経営者から教えてもらった。

オレは後からもう1度紗也乃ママと食事をしようと思っていたので、ここではセーブしていた。

そして横山と四方に後を頼んで、オレとショーコは車で病院に向かった。

▼19時・・・

オレ
「検査入院が終わったら、摩天楼の夜景が見えるレストランでみんなで食事しましょう^^」

紗也乃
「はい^^松村は1月にユーちゃんと来た時に一通り観光はしたんでしょう?」

オレ
「ええ。自由の女神とかリンカーンセンターとか一般的な所は行きました」

紗也乃
「私に見て来いって言うんですけど、私はいつでも行けますから(笑)」

オレ
「今、松村さんの専用車を手配してます。四方が運転できますから松村さんの検査が終わったら一緒に観光して下さい^^」

「正直なところ、動けるうちに動いて色んな思い出つくった方がいいですよ」

「今月の末にはキョーコも来ますし」

紗也乃
「ユーちゃん。ありがとう」

タイムズ・スクウェアから少し離れているがこの店ももライバル店としてチェックしていた。「スシゲン」という鮨屋で、リーズナブルな価格で人気の店だった。

紗也乃
「ショーコちゃんっていい子ね」

オレ
「えっ?あーそーですか?」

紗也乃
「よく気が付くし、気持ちよく動いてくれるし、ユーちゃんにはぴったりだと思うわ」

オレ
「あははは^^」

紗也乃
「松村もショーコちゃんがお気に入りみたいよ」

オレ
「四方がもう少し気がつくタイプだったらよかったんですけどね」

紗也乃
「あっ決してそういう意味ではないのよ!四方さんもよくして下さってるわ」

オレは久しぶりに国産のビールを飲んだ。苦味があってキリリとしてやはり日本のビールは旨いと思った。グラスを空けると紗也乃ママが注いでくれた。

紗也乃
「そうそう理恵さんが手紙が欲しいって言ってたわよ^^」

オレ
「えー手紙ですかー?そーゆーの苦手なんだけどなー(笑)」

紗也乃
「ギャラクシーや他の店は松井君が頑張ってるから心配ない!って言ってた」

オレ
「そーですか^^」

オレはムトー商会のビジネスは何も心配していなかった。松井や前田でしっかりやれる。オレが居ない分きっとトラブルも少ないだろうし、理沙や理恵はきっと7月になれば順番にやってくるだろう。それよりもやっぱり今はこっちの事の方でいっぱいだった。

今日あたり沙耶がやってきそうな気がしていた。

1時間ほど鮨を食いながら紗也乃ママと色々話した。そして病院まで戻ってショーコと交代した。

松村さんとは短く言葉を交わしオレたちはすぐに病院を出た。そしてmar'sBLGに戻った。

▼21時・・・mar'sBLG2FOffice

横山
「トップ・オブ・ザ・ロックに行ってきました。皆さんよろこんでましたよ」

オレ
「そっか^^お疲れさん」

横山
「平日なのに結構混雑していて、NYへの観光客が多いのを実感しましたよ」

オレ
「季節がいいからな^^」

オレと横山は事務スペースの自分のデスクの前に座っていた。大きい窓の向こうは同じようなビルが通りを隔てて並んでいる。ショーコがコーヒーを淹れて持ってきてくれた。

向こうの大きなテーブルでは四方が本橋や香に語学学校の入学案内を見ながら説明しているようだった。後の連中はすでにそれぞれの部屋に戻っていた。

ショーコ
「車いいのあった?」

横山
「どの店もステーション・ワゴンは豊富にありました」

「ショーコさんはやはり高級スポーツカーを探しているようでしたね」

「そっちはなかなか満足のいく車種がないようで、オレはイエローページで専門店を探して問い合わせるのがいいとアドバイスしました(笑)」

ショーコ
「リョーコさんはひとりで行動したいんでしょうね」

「集団行動はどうも苦手なようですし。いいんじゃないですか?」

オレ
「まークルマに乗っている分にはひとりで行動しても安全かも知れないな」

「とりあえず今の車を処分して、新しく程度のいいステーション・ワゴンを2台買おう^^」

横山
「あのポンコツ。オレが乗ると何かしらトラブルんだよなー^^じゃー明日行きます?」

オレ
「オッケー^^」

電話が鳴った。ショーコが受話器をとった。ショーコは一言二言話し手で電話を押えてオレの方を見た。

ショーコ
「沙耶さんです」

オレは黙って受話器を受け取った。

オレ
「ムトーです」

「わかった。じゃー待ってる」

オレは受話器を戻した。

オレ
「また揉めたらしい。今からコッチへ来るそうだ」

ショーコ
「じゃーまたジェームスが追いかけてくるのかしら?」

オレ
「たぶんな。オレが対応するからもう先に休んでくれ」

横山
「いえ。何かあった時人数がいた方がいいと思います」

オレ
「オートロックで今度は入ることもできないさ(笑)」

横山
「あっ!そうでしたね^^」

ショーコ
「じゃー私はお先に^^」

そう言ってショーコはOfficeを出た。

オレは中3階の下の壁を開いた。14インチサイズのモニターが4台づつ2列に並んでいる。1階の玄関に1台、裏の駐車場に続くドア前に1台、そして各階のEV前に1台、EV内に1台、合計8台の白黒TVカメラの映像が写しだされている。

1Fの玄関は先週オートロックのモノに変えた。ドア・マンが帰った後、午後7時からは暗証番号を打たないと入れないようになっていた。

オレ
「オレは下で待ってるよ」

横山
「はい」

オレは自分のデスクから特殊警棒をジャケットのポケットに入れて1階の玄関前に行った。ドアは2重構造になっている。昼間は第1扉はオープンに開放されて、アプローチ内側の第2扉だけが閉まっている。そしてドア・マンが居る。アプローチには郵便受けもある。ドア・マンが帰った後は第2扉がオート・ロックシステムに切り替わる。アプローチには関知式のライトがあり、人が入るとライトが点灯する。

暫くするとライトが点き沙耶が現れた。オレは内側から鍵を空けて沙耶を招き入れた。

オレ
「見せろ」

沙耶
「・・・」

沙耶は手にハンカチを持って頬に充てていた手を降ろした。少し腫れていた。

オレ
「殴られたのか?」

沙耶
「大したことない・・・」

オレは沙耶の顎を持って顔全体を調べた。そしてそのまま軽くキスをした。沙耶は抱き付いてきた。

沙耶
「もうダメ・・・」

オレ
「オッケー上に行こう」

オレたちはEVを使わずに階段を使って2階に上がった。そして事務所に入った。オレは大テーブルの前に沙耶を座らせた。

横山
「沙耶ちゃん。こんばんわ^^」

沙耶
「横山さん。またご迷惑をおかけしますけど・・・」

横山
「気にしなくていいよ^^誰も迷惑だ何て思ってないから」

沙耶
「すみません」

オレは冷蔵庫からアイスパックを取り出し、タオルに包んで沙耶に渡した。そしてブランデーの水割りを1つ作って沙耶の前に置いた。

オレ
「顔に充てていろ。そして少し飲め。落ち着くから」

沙耶
「うん」

横山
「ムーさん。来たようです」

オレはモニターTVの前に行き、1階の玄関のモノを見た。男がドアを開けようとしているが空かない。何度か試しているようだが・・・いきなり足で蹴飛ばしたが無駄を悟ったようだ。外側の扉を開けて出て行った。

ジェームスは歩道の端の方へ寄った。横山が窓際へ行きブラインドの隙間から様子を見に行った。

横山
「何か叫んでいるようですね?」

「警察に通報しましょうか?」

オレ
「ひどくなるようならな・・・暫く様子を見てみよう」

沙耶
「ごめんなさい」

オレ
「まっ今夜のところは諦めて帰ってもらおう。どうせ明日の朝にでもやってくるさ(笑)」

横山
「そーですね」

そしてジェームスは居なくなったようだ。横山は沙耶に「おやすみ」と声をかけて自室に戻って行った。オレは沙耶を中3階に連れて上がった。

沙耶
「あっこんな部屋つくったんだ^^」

オレ
「つい先日完成した(笑)」

沙耶
「今夜、ここに泊めてくれる?」

オレ
「ああ」

沙耶は抱き付いてキスをしてきた。それからベッドに腰をかけて、その後どうなっているのか事情を聞いた。

オレたちがここへやって来た頃、一度沙耶とジェームスはふたりで仲良くここに来た。ジェームスを紹介してもらい。うまく行ってるものだとばかり思っていたが・・・

沙耶の結婚相手のジェームスは広告写真家だったが、あまり仕事ない。もっぱら沙耶がモデルで稼いでいる。最近ではそれをいい事に労働意欲をなくしていると言う。沙耶はすでに離婚を決心しているが、なかなかその話にならない。そして前回、その話をすると暴力を振るわれ沙耶はここへ逃げてきた。

後を追うようにジェームスはここにやって来た。そして来るなり泣きながらオレに謝った。そして沙耶にも・・・オレは仕方なく間に入り、今度沙耶に暴力を振るったらオレが許さない!と宣告した。同時によく話し合うように言って二人を帰したのだが・・・

それから1週間も経たないうちに・・・また同じような事が起こった。

オレ
「明日ジェームスが来たら、警察に突き出す」

沙耶
「うん。そうして。すぐに弁護士に連絡して離婚手続きをお願いするわ」

オレ
「そっか」

沙耶
「今日は私が引越す話をしたら突然怒り出して・・・」

オレ
「もう新しい引越し先を見つけたのか?」

沙耶
「お隣のチェルシーよ!キョーコちゃんも来るし近いほうがいいと思って」

オレ
「そーなんだ」

沙耶
「もう契約もしたし、後は荷物を運びこむだけ」

オレ
「わかった」

そのままオレは沙耶を裸にしてベッドに入れた。そしてきついセックスをして沙耶を眠らせた。

翌日、予想通り朝からジェームスはやって来た。言い訳をし反省しているように振舞ったが、沙耶が姿を現すと突如興奮してオレに殴りかかってきた。オレはジェームスに怪我をさせないようにして取り押さえて警察を呼んだ。

制服警官2名がやってきてジェームスは後手に手錠をかけられて連行された。オレと沙耶は警察で事情を説明した。ジェームスは傷害罪に問われるだろう。

横山は引越し用に大きなパネルバンをレンタカー屋で借りてきた。田川、岩崎、そして菊水亭の3人にも手伝ってもらって、沙耶の引越しを一瞬で済ませた。

その後、オレは四方と共にメイヒル不動産に出向いて契約を済ませた。そして横山と一緒に中古車へ行き、ダッチのワゴンと同タイプのシボレーのワゴンを買った。乗ってきたクルマの処分を依頼して、ダッヂはその日の内に乗って帰った。

オレは沙耶のアパート前にダッチを停めて、ドア・マンに声をかけ5階の沙耶の部屋に入った。

沙耶
「ユーイチ。ごめんね」

オレ
「何を今更(笑)」

沙耶
「こっちへ来たら私がユーイチをお世話しようと思っていたのに」

オレ
「オレはお前のケツを拭く運命なんだよ(笑)」

沙耶
「あー^^まだあの事覚えてるの?恥ずかしい」

オレ
「ははは^^アレは一生忘れない(笑)」

沙耶が酔っ払って初めてオレの部屋に泊まったとき・・・トイレで沙耶が拒むのを無視して目の前でトイレをさせた。その時、オレは沙耶の下半身を洗ってキレイに拭いてやった事があった。そして裸にしてベッドに寝かせた。オレは乳に軽くキスしただけで手を出さなかった。

沙耶
「うん^^でも、キョーコちゃんが来たら私がしっかりとお世話するからね」

オレ
「あーキョーコの事は頼む^^」

沙耶
「ねー新しいベッドでゴロゴロしよ^^」

オレ
「ああ」

mar'sBLGからバスで15分。7階建てのアパートの5階。3LDKの部屋はひとり住まいには広すぎたが、来月の初めには来るキョーコとキョーコの子供を迎えるために沙耶はこの部屋を借りた。

それはとても嬉しい事だったが、同時にそうなった後の事が気になった。オレがここへ来た場合、一体どうなるのだ?沙耶に聞いてみたい気もしたが・・・それはその時になってから考えようと思った。

ショーコに香、そして沙耶にキョーコ。それらが二つの環境に中に混在する。そしてカウント・ダウンが始まった松村さん。2週間後にオープンを控えたタイムズ・スクウェアの店。そして新たに契約したビルで鮨屋をやることになったが・・・果たしてこのニューヨークでそれらが通用するのか?

波乱に満ちたニューヨーク生活がいよいよ本格的に始まった。

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